2022年2月7日(月)
ベヒシュタイン社がリペアした1916年製Bモデルが日比谷のセントラム東京に入荷しました。(昨年同じような年代のモデルが入荷した際はすぐに販売が決まってしまったので掲載はしませんでした)
これもとてもよい楽器で、修理もほぼすべてにわたり行われており、新品とほとんど変わりなく使用できると思います。
しかし出てくる音は、新品楽器とは違い、100年以上たった楽器なのだなぁと思います。弦やハンマーフェルトなど消耗部品を交換しても、その楽器のボディが持つ本質的な音は大きく変わりません。(もちろん硬い、柔らかいということはハンマーフェルトの状態で多少変わりますが)
1916年といえば第1次世界大戦が終わりに近づき、1929年の世界恐慌までのまさにヨーロッパの黄金時代のはじまりといってもよい時期です。今年はスクリャービンの生誕150年ですが、そのスクリャービンは1915年に亡くなっていますので、その1年後の製造ということになりますね。スクリャービンも同じベヒシュタインのBを使用していました。
日比谷のセントラム東京には、The Heritage Wallというベヒシュタインをかつて愛用していたピアニスト、作曲家らの写真、サインなどが飾られていますが、ラフマニノフもヨーロッパでバリバリ弾いていたでしょうし、ドビュッシーやラヴェル、E.ダルベール、シュナーベル、バックハウスももちろん健在の時代です。そういう時間に思いを馳せながら弾いてみるのもいいですね。