ショパン国際ピアノコンクールに史上最年少の15歳で挑み、本大会でベヒシュタインのフルコンサートグランドピアノを選定した中島結里愛さん。世界の大舞台に立つピアニストが、日々の練習拠点である東京でパートナーとして選んだのは、ベヒシュタインのアップライトピアノでした。
「コンクールを目指すならグランドピアノ」という常識を超え、なぜ彼女はアップライトピアノを使うのか? そして、その選択が、いかに彼女の「音色への飽くなき探求」を支え、ショパンコンクールでの成功へとつながったのか?
繊細すぎるがゆえに「ごまかしが効かない」と語る、ベヒシュタインのアップライトピアノとの真摯な対話。中島さんが語る、1ミリ以下の「音作り」の秘密に迫ります。

加藤:
こんにちは。ベヒシュタイン・ジャパンの加藤です。
今日は、第19回ショパン国際ピアノコンクール(2025年)に最年少(15歳)で出場し、本大会でもベヒシュタインのフルコンサートグランドピアノを選定してくださった中島結里愛さんをお迎えしました。
世界の大舞台に挑む中島さんが、日々の研鑽を積む東京でのパートナーとして選んだピアノについて、お話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
中島さん:
よろしくお願いします。
1歳でピアノに触れる。「遊び」が「世界」につながった瞬間
加藤:
中島さんは、おいくつからピアノを始めましたか?
中島さん:
最初にコンクールに出場したのは4歳なんですが、ピアノを弾くことが始まったのは、歩けるようになったか、ならないかくらいの時です。1歳とか、つかまり立ちをした頃にはすでに演奏していました。
加藤:
1歳の時にはもうピアノを? 驚きですね。
中島さん:
習っていたわけではないのですが、弾くというのは1歳とか、物心ついた頃にはすでに日常でした。母が昔使っていたアップライトピアノが家に置いてあったので、そのピアノで遊んでいるうちにすごくハマっていきました。
加藤:
おもちゃではなく本物のピアノが、遊び相手だったわけですね。
中島さん:
そうですね。もちろんその時は小さかったので、メーカーが何かなどは気にしなかったのですが、地元・津山(岡山県)のホールなどでベヒシュタインに触れる機会も多く、自然と耳が育っていったのだと思います。
加藤:
ちなみに、今は1日にどれくらいピアノを弾きますか?
中島さん:
最近は日によってバラバラですが、何もない日はずっとスタジオに行っているので、8時間か9時間くらいです。もちろん休憩しながらなので、ずっと通しではないですけれど。
ショパンコンクール出場者が、自宅に「ベヒシュタインのアップライト」を選んだ理由
加藤:
藝大附属高校への進学を機に上京し、生活をスタートさせた際、部屋に入れるピアノとしてベヒシュタインのアップライトピアノを選んでくださいました。一般的には「コンクールを目指すならグランドピアノ」という声も多い中で、なぜこの選択をされたのでしょうか?
中島さん:
練習する曲がショパンだけではないので、近現代の曲など、もっと音域や音量が必要なものを練習したいとなると、そういう意味でもっと可能性があるのがベヒシュタインかなと自分の中で思っていました。
加藤:
部屋のスペースという制約の中で、妥協ではなく「可能性」で選ばれたのですね。
中島さん:
はい。先生の勧めもあったのですが、アップライトピアノの中でもクオリティの高いピアノメーカーさんといったらベヒシュタインさんかなと思って選ばせていただきました。
加藤:
実際に弾いてみて、どんなふうに感じましたか?
中島さん:
予想はしていたのですが、実際に使ってみても全然グランドピアノに引けを取らないですね。音を作っていく上で妥協が許されないというか、良い意味でコントロールが難しい部分もありますし、それがすごくプラスに働いているんじゃないかなと思っています。
加藤:
それは、具体的にはどういうことでしょうか。
中島さん:
演奏の仕方を少し変えるだけで、幅広くいろんな音楽のスタイルに変えられるピアノだなと一番思っています。
「繊細さ」が武器になる。1ミリ以下の音作り
加藤:
その「変化の幅」が、逆に奥深さでもあるわけですね。
中島さん:
おそらく繊細なピアノなので、少しのことで反応が変わるというのをすごく感じています。それはタッチの面でも音色作りの面でも同じで、それを緻密に作っていく練習になるという意味で、非常に弾きごたえがあると感じます。
加藤:
なるほど、表現力が試される。
中島さん:
演奏していて自分の演奏が上手く聞こえるというのは、もちろん気持ちは良いと思うのですが、個人的には最善の状態ではないかなと思っています。より深く、より本質的な音を追求していく姿勢こそが、一番上達していくためには大事なのかと思います。そういう意味でとても探求しがいのあるピアノですね。
加藤:
ショパンコンクールという大舞台でベヒシュタインを選ばれた背景には、そうした日々の「厳密な音作り」があったのですね。
中島さん:
ピアニストって多彩なタッチを弾き分けるじゃないですか。その上で、主にハーフタッチですね、深く打鍵するのとは違うタッチがあって、その絶妙な加減を研究するんです。

中島さん:
さっきお伝えしたハーフタッチで……ここをもう少し上向きにしたいって思う時に……これだとちょっと深すぎたかなとか、これだと浮きすぎですよねとか。指先をどう使うかでかなり変わると思うのですが、自宅のベヒシュタインのピアノが気づかせてくれるという感じです。
グランドとアップライト、それぞれの役割
加藤:
そのハーフタッチのコントロールは、ドビュッシーなどを弾く際にも非常に重要だと言われますね。一方で、コンサートホールにはフルコンサートという大きなピアノが置いてありますけれど、アップライトピアノで練習することに不安はありませんでしたか?
中島さん:
あまりすごく思ったことはないのですが、激しい曲などをアップライトピアノでずっと弾いていると指がちょっと痛くなることはありますね。それはやっぱり構造上、コンサートグランドではないことかなと思います。
加藤:
そこは役割分担ですね。学校ではグランドピアノを弾いているわけですが、自宅のアップライトでは音色作りとかに練習の脳がフォーカスしてい流ということでしょうか。
中島さん:
そうですね。
あなたも「妥協のない音」に触れてみませんか?
中島結里愛さんが「ごまかしが効かないからこそ上達できる」と語ったベヒシュタインのピアノ。
その繊細な反応と色彩豊かな音色は、プロフェッショナルだけでなく、ピアノを愛するすべての方にとって新しい発見をもたらします。
ベヒシュタイン・ジャパンでは、今回の対談が行われた「ベヒシュタイン・セントラム 東京」をはじめ、全国の正規販売代理店・ディーラーにてご試弾を承っております。
中島さんが選んだアップライトピアノ、そしてコンクールで選ばれたグランドピアノの響きを、ぜひご自身の手と耳で確かめてみてください。
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